ロードバイク初購入時に初心者が抑えるべきポイント5つ【完全版】

初めてのロードバイク。自転車専門店に行ったはいいものの、どれも同じに見えて選び方が分からない。店員に聞きたいけど常連客と話してて聞き辛い…し、そもそもポジショントークで店に都合のいい車体を買わされそう。

というお悩みをお持ちのロードバイク初心者の方に向けて、自転車業界と何のしがらみもないロドマガが、初めてのロードバイク選びで見るべきポイントを5つに絞って紹介する。

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この記事の対象者

本題に入る前に、この記事の対象者を定義する。

対象者の定義

  • 今までにロードバイクを買ったことがない人
  • 店舗でロードバイクを見たけどいまいちよく分からない人
  • 初めてのロードバイク選びで基準が知りたい人

記事内では事実と意見を使い分けている。意見は俺自身の考えだから合う合わないがあると思う。自転車ショップの店員やロードバイク玄人と逆行する意見もあるかもしれない。(特にコンポーネントとブレーキ)

ただ、初心者の目線に立って解説していることを強調する。俺も、最初の一台はショップ店員に流されて購入して後悔した経験があるため、そのような人を出さないためにこの記事を書いている。前置きは置いといて、早速5つのポイントに入ろう。

①フレーム・フォーク

ロードバイクから、車輪やらハンドルやらを取っ払った本体部分のことを「フレーム」という。さらにフレームの中でも、ハンドルや前輪を付ける部分を「フォーク」という。フレームとフォークは分離しているから、それぞれ違う材質で作ることができる。

その材質こそ、フレームやフォークでまず見るべきポイント。材質は「カーボン」「クロモリ(“鉄”のこと)」「アルミ」のどれかが使用されることが多く、この順番で乗り心地が良くなる。一方で、アルミとクロモリ、カーボンの間には大きな価格差がある。

カーボンフレームは高級車の証。初心者が購入しやすい価格帯(5万〜15万円)では、フレーム素材は必然的にアルミかクロモリになる。そもそもカーボンは衝撃で割れやすい性質があるから取り扱いに気を遣う。だから最初から初心者にカーボンフレームはおすすめしないんだけど、『フレームはアルミ、フォークはカーボン』という車体はオススメする。振動がダイレクトに伝わりやすいフォークに、振動吸収に優れているカーボンを使うことで、ロングライドでも疲れにくくコスパがいい。各メーカーのエントリーモデルでも一般的になっている。

次に購入時に重要なのがフレームのサイズ。フレームサイズが合ってないと、無理な乗車姿勢で乗り続けて体を痛める原因になる。気に入った車体があっても、自分の体に合うサイズがあるか必ず確認しよう。

このフレームサイズ。厄介なことに、メーカーごとにサイズ表記や適正身長が異なる。だからサイズ選びに困ることが多い。おすすめのサイズ選び方法は、トップチューブ長とシートチューブ長を自分の適正と照らし合わせる方法。

まず、車体はどれでもいいから実際にロードバイクにまたがって適正なサイズを知る。この時、専門ショップ店員に見てもらいながらサイズを測ると確実。そして適正サイズの「トップチューブ長」と「シートチューブ長」を調べて、あとは買いたいロードバイクのジオメトリー(自転車の寸法表)と照らし合わせればOK。この方法ならネット購入のサイズ選びを間違えることも減るだろう。

なぜ「トップチューブ長」と「シートチューブ長」かというと、トップチューブは上半身、シートチューブは下半身の大まかな指標になるから。特にトップチューブ長は、ステム(ハンドルとフロントフォークを繋げる棒)で微調整くらいしかできないため、困ったら自分の適性なトップチューブ長に近いサイズを選べばよい。(シートチューブ長はサドルの上げ下げで大幅調整が可能)

②コンポーネント

コンポーネント(以下、コンポ)は、変速機やブレーキなどのロードバイクを成り立たせる部品のこと。フレームにコンポを付け足していくことで、初めてロードバイクとしての機能を得ることができる。

このコンポ。実は、日本の「SHIMANO(シマノ)」という会社が作っている部品が数多く使われている。スポーツサイクル部品としては世界シェアの8割以上を占めており、まさに『シマノにあらずんばコンポにあらず』状態。近年では中国メーカーのコンポも良質なものが増えてはいるんだけど、補修部品の潤沢さや日本での手に入れやすさを考えると、初心者ほどシマノ製コンポの付いたロードバイクを買うことをおすすめする。

そんなシマノのコンポは、性能差を元に独自のグレード基準を設定していている。全部で7段階のグレードがあり、覚えやすくするためかそれぞれ特徴的なグレード名がある。それが下記。

SHIMANOコンポ グレード順

DURA-ACE > ULTEGRA > 105 > Tiagra > SORA > Claris > Tourney

左になるほど性能もお値段も高くなっていく。つまり、売ってるロードバイクに付いているSHIMANOコンポを見れば、その車体のコスパがある程度分かるという理屈。

エントリーモデルの場合、コストカットのため全てのコンポをシマノ製で統一していないケースが多い。例えば、『前後ディレイラー(変速機系の部品)とSTIレバー(変速とブレーキが一体化したレバー)はシマノ製で、ブレーキとクランク(ペダルを付ける棒)は中国メーカー製』というものが当たり前にある。どこに何が使われているかは確認しておきたい。

また10万円以下のロードバイクだと、SORAグレード以下のコンポが付いていることが多い。個人的にはTourneyだけは避けるのをおすすめしている。理由はTourneyコンポだと、STIレバーのシフトワイヤーが上写真のようにびよーんと外に出てくるから。これがClaris以上になるとハンドル付近に収まっているので超スリム。Tourneyは5万円以下のロードバイクによく付いてるけど、安いという理由だけで選んで後悔しないようにしよう。

③ブレーキ

ロードバイクのブレーキングシステムには、大きくリムブレーキとディスクブレーキがある。リムブレーキは、ホイールの側面(リム)をブレーキシューと呼ばれるゴムで挟み込んでブレーキをかける。一方ディスクブレーキは、ディスクローターと呼ばれる金属製の円盤をブレーキパッドで挟み込んでブレーキをかける。リムはママチャリ、ディスクは自動車と同じブレーキシステムと覚えるといい。

さらにディスクブレーキには、機械式と油圧式がある。機械式はワイヤーを引くことでブレーキを動かし、油圧式はオイルの圧力でブレーキを動かす。一般的に、油圧式の方が機械式に比べてブレーキ時の伝達効率が良く、その分値段が高くなることが多いんだ。

引用:シマノ / 初めての油圧ロードディスクブレーキ より

「リムブレーキ」「機械式ディスクブレーキ」「油圧ディスクブレーキ」。この3種類のブレーキの中で、最初の一台に強くオススメするのはリムブレーキ。理由は完成車の価格帯が圧倒的に安いから。スモールスタートでお手頃にロードバイクを始めることができる。またメンテナンスが楽なのも初心者向き。リムブレーキはホイールの取り外しが簡単で、急なトラブルが起きてもある程度の知識があれば対応しやすい。

中には「今から買うならディスクブレーキでしょ」と言う人もいるだろう。たしかにロードバイク業界の時流はディスクブレーキに移行している。だけどリムブレーキが完全に無くなるのはまだまだ遠い未来の話。ロードバイクはあくまで趣味だから3年続けばいい方。3年続いて知識を付けた後にディスクブレーキへ移行しても遅くはない。最初の一台は安心してリムブレーキを選んで大丈夫。

④重量

ロードバイクは普通の自転車に比べたらめちゃくちゃ軽い。どれぐらい軽いかというと、やっすいロードバイクでもママチャリの2分の1くらいの重量なんだ。

だけどロードバイクは数十gを削る世界。軽さは正義。軽ければ軽いほど速く快適に走れる。よく考えてみてほしい。500g重いだけでもペットボトル1本分を常に持って走ることになる。特に坂道を登るときは辛い。車体の重量がそのまま重力となって襲いかかる。できることならなるべく軽いロードバイクを選びたい。

じゃあ何kgから重いの?ってなると思う。これはロードバイクの値段にもよるんだけど、初心者が選ぶ価格帯だと『10kg以下かどうか』が一つの目安になる。有名メーカーのエントリーモデルは9kg台であることが多い。10kg付近だと普通くらいで11kgに近くなるほど重いな、くらいの認識でいれば十分。

最初は乗り味が重く感じても、後からホイールを交換することでかなりの軽量化が見込める。だから重量は先に説明した3項目よりも優先順位は低い。フレーム・フォーク、コンポーネント、ブレーキを優先して確認する方が健全なんだ。

⑤購入先

一昔前ならありえなかった、ネットでロードバイクを購入するのも今では当たり前になった。購入先の選択肢が増えたことで、店舗で購入するかネットで購入するか迷っている人も多いんではなかろうか。

店舗購入のメリットは実際に人に話を聞けること。購入前後に相談相談に乗ってもらったり、サイクリングイベントを開催している店だとイベントに参加しやすかったりする。一方デメリットは、値段が安くないこと。店舗の賃料や人件費がかかるため、どうしても定価か定価より少し安いくらいに落ち着いてしまう。

ネット購入のメリットは、店舗よりかなり安く購入できること。店舗が取るはずのマージンコストを削減できてその分安くできるからネットは安い。一方デメリットは、届いた後に組み立てや細かい調整が必要なこと。ネット購入後の配送は、配送コストを抑えるために七分組という中途半端な状態で梱包されることが多い。

組立というと難しそうに聞こえるけど、ロードバイクの形にするだけなら素人でも簡単に組み立てることはできる。ただし、難しいのは組み立て後のブレーキや変速の細かい調整。まあ調整に関しても、サイクルベースあさひ等の他店購入の自転車でも面倒を見てくれる自転車屋さんに持っていくことで解決できる。初めて購入する場合でも、不安だからといってネット購入を諦めなくて大丈夫。

最後は“見た目”

ここまで長文を読んでくれた貴方。ありがとう。でも謝罪させてほしい。ここまで書いたことを全部忘れてでもいいから、“見た目”で気に入ったロードバイクがあればそれを買うべきだ。

なぜならロードバイクはあくまで趣味で、生活に必要なものじゃないから。生きていくのに必要ないことを続けるには熱量がいる。その熱量が生まれるのは圧倒的な”好き”という感情だと思う。だからこそ最後は、見た目やフィーリングで自分が惚れた一台を決めてそのロードバイクに乗り続けてほしい。

好きなメーカーがあるならそれを買っていいし、好きなアニメキャラが乗ってるという理由でそのバイクを買ったっていい。人の好きに口出しする奴らなんか無視してしまえ。

もちろん異性を選ぶ時のように、外見ではなく内面を重視する人もいるだろう。かくいう俺もそのタイプだから気持ちは分かる。ロードバイクの内面は、フレーム・フォークの素材、コンポのグレード、ブレーキの種類に当たる。内面を考慮しつつ、少しでも外見で気に入ったロードバイクを見つけてほしい。

この記事が、これからロードバイクを始めようとする誰かの役に立つことを願っている。

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